The road to becoming a farmer ➋

自分で農業を始めたい人(起業)、実家の農業を引継ぎたい人、農業法人に就職した人。
農業を始めるのは大きく3通りと言われています。
一言に「農業」といっても様々な形態がありますし、「農家」となって目指す
「経営方針=生き方」も様々です。企業は利益を得て成長していくことが
当り前に求められますが、農業で起業することは利益の追求に加えて、
自己実現や家族との幸福の形といった抽象的な概念(いわゆる価値観)が
案外大きく関わってきます。そこが農業で起業する醍醐味かもしれません。
オススメ資料:新・農業人ハンドブック2024(https://www.jeinou.com/maff_application/mobile/article/2339

園主の場合、実家の農業を引継ぐ、農業法人に就職するといった選択肢はありません
でしたので、自分で農業を始める(起業)方法の一択で就農を決意しました。
当然、自分で農業を始める不安・リスクを感じましたが、前回の記事で
ご紹介した内容(https://www.kato-orchard-52.blog/wp-admin/post.php?post=34&action=edit
に加えて、様々な公的支援を受けられることが支えとなりました。
今回は園主が就農~就農初期までに受けた支援制度をご紹介しますね。

①就農準備資金(農林水産省HPより:https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html
この制度は就農に向けて必要な技術等を取得する研修期間中の研修生に資金が交付される制度です。
→私の地域では「JAあしきた」が研修期間先となって研修生の受け入れを行っています。
交付対象:就農予定時に49歳以下の者
交付額:12.5万円/月(150万円/年)を最長2年
交付主体:市町村
詳しくは上記HPで確認頂きたいのですが、この制度では例えば夫婦で研修を希望する場合、
一人150万円/年なので、夫婦だと300万円の給付を受けることが可能です。
この点は家計的には大きなメリットですよね。
但し、園主が実際に直面したらり不便に感じる課題もあります。それは以下の通りです。
・原則前年の所得が600万円以下であること。
→原則という文言がありますが、我家は共働きでこの要件をオーバーしていたため交付不可となりました。
・失業保険と併用して給付をもらうことができない。
・概ねと記載はあるが、1年以上かつ1200時間以上の研修を受けないといけない。
→要するに交付を受けると1年以内の間は就農(起業)できないということですね。

園主の場合、交付要件の前年所得要件をクリアできなかったので、制度利用を断念しました。
しかし、芦北地域では多くの新規就農者が就農準備資金を活用して、1年~2年の研修期間を経て、
就農(起業)していますよ。

②経営開始資金(農林水産省HPより:https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/roudou.html
次世代を担う農業者となることを目指して、新たに経営を開始する者に資金を交付する制度です。
交付対象:独立・自営就農時に49歳以下の者
交付額:12.5万円/月(150万円/年)を最長3年 ※夫婦だと225万円/年
交付主体:市町村
同じく詳細は上記HPで確認頂きたいのですが、国の税金が利用されますので、要件が厳しく設定
されています。
園主は就農地の自治体に「青年等就農計画」いわゆる「経営計画」ですね。これを提出の上、
交付要件である「認定新規就農者」に認められました。正直、1~10まで自力で作成するのは
困難ですので、就農の目途がついたら早めに自治体に相談することをおすすめします。
※芦北地域では、遅くても半年前には制度を利用したい旨を伝えてほしいと呼びかかています。

③経営発展支援事業(農林水産省HP:https://www.maff.go.jp/j/new_farmer/n_syunou/hatten.html
次世代を担う農業者となることを志向する者に対し、就農後の経営発展のため、機械・施設等導入を
支援する制度です。
支援額:補助対象事業費上限1,000万円(経営発展資金の交付対象者は上限500万円)
補助率:都道府県支援も2倍を国が支援(例:国1/2、県1/4、本人1/4)
対象経費:機械・施設・家畜導入・果樹・茶の新植等

機会導入にはどうしてもお金がかかるので大変ありがたい制度です。簡単に示すと、
機会購入の総額の1/4の自己負担で機械の導入ができるというわけです。
園主は現在申請中ですが、申請が認められることを祈るばかりです。

この制度も当然交付要件があるのでですが、園主が不便だと感じる点を列挙しますね。
・就農してからの2年度間しか申請を出せるチャンスがない。
・トラック、倉庫、PCなどの汎用性(農業以外でも使用できる)のあるものは申請できない。
・特に機械類の申請は面積が大きくないと不利である。(経営発展という観点からなのか)
 →就農初期にいきなり大きな面積を所有することは難しい。
・全国的に予算額上限に達することも多く、条件を満たしても不採用となることがある。

④青年等就農資金(無利子融資)(日本政策金融公庫:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/seinen.html
対象者:認定新規就農者
借入条件等
(1)資金使途:施設、機械の取得等
(2)貸付利子:無利子
(3)借入限度額:3,700万円
(4)償還期限:17年以内
(5)据置期間:5年以内
(6)担保等:実質無担保・無保証人

園主が強くオススメする制度のひとつです。起業(経営)とは、お金を調達(通常は借入)して
資本に変えて利益を得ることおですよね。
一般企業では銀行に融資をお願いすることになりますが、
当然、金利もかかりますし、担保を求められます。何より「信用」が必要ですので新規起業者への
融資はハードルが高いと言われるの一般的です。しかし、「青年等就農資金」は新規就農者にとって、
大変有利な借入条件になっています。
園主も運転資金として融資の申請を行い、無事に融資を頂くことができました。
融資の申請には経営計画書の提出の他、関係者からのヒアリング(審査会)等も行われます。
慣れないことなので緊張もしますが、それ以上に貴重な助言や、これからお金を借りて事業を
軌道に乗せるという心構えができる実りある経験でした。